★「王様ゲーム」
0.はじめに
■シナリオ作成者
夜空
■プレイ人数
4人 (限定)
■プレイ時間の目安
オフセッション、スカイプなどのボイスセッション:4.5~7時間
■レベル
難易度:★★★☆ 雰囲気の重さ:★★★☆
■スタイル
シリアス&サーチ
■舞台
現代クローズド
■推奨技能
目星、聞き耳、図書館、物理学、オカルト
■全体HO
なし
■PLへのお願い
本シナリオは現代日本を想定したシナリオである。
秘匿の個別HOがあるため、事前に振り分けてから探索者を作る。
またこのシナリオは探索者たちの経歴に関わる設定がつくため、
秘匿HOで記載しているもの以外は定めない方が無難である。
また、情報量が多いため、整理し、状況を推察しながらシナリオを進めていくことをお勧めする。
RP推奨。PVP要素有。継続探索者不可。
KP情報補足
開示情報
サンプル描写
SANc
■KPメモ
HOの公開は、そのHOを担当するPLのみにとどめる。探索者によって渡す情報が異なるものが何点かあるので注意。
推奨技能がそれぞれのHOで異なることも伝えておくといいだろう。
本シナリオは新規探索者限定のシナリオである。
また、シナリオ側からキャラクターの設定に介入するのをPLに予め伝えることをお勧めする。
シナリオ中、転生前の下の名前が随所に出てくる。KPはあらかじめ、PL名前からもじった転生前の名前を考えておくこと。
■HO一覧 - 各HO以外の人には非公開
▼HO1
職業ベース:医師 推奨技能:医学・応急手当・(英語) 推奨年齢:28~29歳
貴方は、自分の職業・下の名前・年齢・生年月日だけ、記憶が残っている。
それ以外は苗字すら思い出せず、何も覚えていない。
ただ、ずっと誰かを殺したいくらい憎んでいることがはっきりとわかる。
(補足:『何も覚えていないけれど、何者かへの"憎しみ"という感情が他の感情よりも強くある』といった状態)
※能動的に起動できる処理について
2部屋探索する毎に、1D6のSANを支払い、<アイデア>を振ることが出来る。
<アイデア>を成功した場合、『憎んでいた相手の特徴』を少しずつ得ることが出来る。
ただし、アイデアロールを失敗した場合は、強い頭痛に見舞われるため、CON*5ロールをします。
CON*5にも失敗した場合、HPを1減らす。振る順番は SANC 1D6 →<アイデア>。
■KPメモ
この探索者は琉雨を尊敬する一方で彼に苛立ちを感じていた。
武道の家で、自衛官や警察官を多く輩出している九条家(実家)に反発し、医師という道を選んでいる。
▼HO2
職業ベース:自衛官or警察官 推奨技能:戦闘技能 推奨年齢:25~27歳
貴方は、自分の職業・下の名前・年齢・生年月日だけ、記憶が残っている。
それ以外は苗字すら思い出せず、何も覚えていない。
何か物凄く、心配し悩んでいた記憶がある。
※能動的に起動する処理について
2部屋探索する毎に、1D6のSANを支払い、<アイデア>を振ることが出来る。
<アイデア>を成功した場合、『何を心配していたのか』という情報を少しずつ得ることが出来る。
ただし、アイデアロールを失敗した場合は、強い頭痛に見舞われるため、CON*5ロールをします。
CON*5にも失敗した場合、HPを1減らす。振る順番は SANC 1D6 →<アイデア>。
■KPメモ
この探索者は琉雨のことを尊敬していて、兄としても好感を持てていた。
それと同じくらい<HO1>のことも大切だった。そんな2人のいざこざを知っていたためか、仲を取り持とうと奮闘していた。
そんな中、琉雨が失踪してしまい、<HO1>が引きこもってしまったので、よく<HO1>の様子を見に行っていただろう。
▼HO3
職業ベース:警察官 推奨技能:戦闘技能 推奨年齢:18~24歳
貴方は、自分の職業・下の名前・年齢・生年月日だけ、記憶が残っている。
それ以外は苗字すら思い出せず、何も覚えていない。
何となくだが、何者かを必死に探していたような気がする。
※能動的に起動する処理について
2部屋探索する毎に、1D6のSANを支払い、<アイデア>を振ることが出来る。
<アイデア>を成功した場合、『その対象の特徴』を少しずつ得ることが出来る。
ただし、アイデアロールを失敗した場合は、強い頭痛に見舞われるため、CON*5ロールをします。
CON*5にも失敗した場合、HPを1減らす。振る順番は SANC 1D6 →<アイデア>。
■KPメモ
この探索者は琉雨のことをすごく尊敬していて、兄としても大好きだった。
警察官になったのは、自分が九条家の人間だからということもあったが、最大の理由は琉雨への憧れの気持ちが強かったからだ。
そんな琉雨が失踪したということを知った時、琉雨を必死に探していた。
出す情報として、探していた人(琉雨)の身体的特徴や・性別・性格などがよい。
▼HO4
職業ベース:自由 推奨技能:図書館・オカルト・英語 推奨年齢:28~30歳
貴方は、自分の職業・下の名前・年齢・生年月日だけ、記憶が残っている。
それ以外は苗字すら思い出せず、何も覚えていない。
そして何かの罪に苛まれていたような気がする。
※能動的に起動する処理について
2部屋探索する毎に、1D6のSANを支払い、<アイデア>を振ることが出来る。
<アイデア>を成功した場合、『どんな罪を背負っていたのか』という情報を少しずつ得ることが出来る。
ただし、アイデアロールを失敗した場合は、強い頭痛に見舞われるため、CON*5ロールをします。
CON*5にも失敗した場合、HPを1減らす。振る順番は SANC 1D6 →<アイデア>。
■KPメモ
この探索者は九条琉雨の親友で、九条兄弟ともとても仲が良かった。
そして彼は、九条琉雨がニャルラトホテプに連れ去られているところを目撃している。そのときこの探索者は何もできなかった。
それどころか、その異様な(人間の姿のニャルラトホテプと従者を連れて琉雨を誘拐している)光景に恐れおののき、逃げてしまった。
何もできず友人を置き去りにしてしまった罪悪感が毎日この探索者を蝕んでいた。
1.物語の概要
PL向けあらすじ
気が付くと見知らぬ部屋で目覚めた。
「王様」と名乗る人物からメールが届く。しかし、命令は次第にエスカレートし……
探索者たちは、無事、謎を解決し、元の世界へと戻ることができるのか!?
KP向けあらすじ
ニャルラトホテプは家族愛・同族愛・友情をこじらせ、歪ませて遊ぶゲームを考え付いた。
それを人間たちがしている王様ゲーム風に改変したものが
本シナリオにおける「王様ゲーム」というゲームだった。
ルールは簡単で、ゲームの参加者から王様を1人だけ選び、
王様に選ばれた人間の願いを叶えるというものだ。
最初のターゲットになったのは、探索者たちと九条琉雨の前世の九重兄弟である。
彼らは記憶がある状態で参加させられたのだが、兄弟を殺すことなどできず、
何もできないまま時間だけが過ぎていき、結局、九重琉架だけが生き残った。
そうして九重琉架が王様となり、彼は「もう一度やり直す」ことを願った。
その願いをニャルラトホテプが叶えた結果、時間を巻き戻すのではなく、
輪廻転生をさせることによって繰り返したのだった。
■NPC紹介
①『ルウ』12歳
STR:15 CON:14 POW:16 DEX:15 APP:15 SIZ:8(12) INT:14 DB:0 H P:13 M P:16 SAN:50
<回避>50% <拳銃>60% <武道(立ち技系)>71% <キック>65% <サブマシンガン>66%
<応急>51% <聞き耳>56% <隠す>65% <目星>69% <心理学>65%
▼今セッションの役割
無意識の元凶。
▼主な接触手順
最初の部屋で一緒に目覚める。
▼公開情報(彼と関わることでわかる情報)
少しだけ大人びていて、年の割にかなり落ち着いている。シナリオ中、お面をつけている。
▼KP情報
本名、九条琉雨。30歳。
ニャルラトホテプに姿を幼くさせられた探索者たちの長男である。現世の2年前に失踪した。失踪する前は、警察官をしていた。
兄弟思いの兄で、面倒見もよく、弟や妹たちから慕われていた。
<HO4>のことは幼馴染みであり、親友であり、相棒であり……、そんな仲だった。
②『九重 琉架(ここのえ るか)』
▼今セッションの役割
最初の犠牲者にして、物言わぬ王。
▼主な接触手順
なし。接触することはできません。
▼公開情報
なし。シナリオの情報収集にて名前のみ登場。( 『7. 青色の部屋』参照)
▼KP情報
九条 琉雨の前世。この「王様ゲーム」の最初の被害者であり、王様となった人間である。
③『黄色の部屋にいる男』
▼今セッションの役割
物語りの監視者。
▼主な接触手順
シナリオの終盤。琉雨や探索者たちを煽りに現れる。
▼公開情報
なし。
▼KP情報
ニャルラトホテプの化身であり、このシナリオで行われている「王様ゲーム」を起こした元凶。
シナリオ中は基本的にこの状況を監視し、楽しんでいる。
2.導入
探索者たちが何かをしていた時、突然、ぐらりと頭が揺さぶられ、意識が遠のいていった。
病気だろうか……? と、考えた次の瞬間。自分の体が落ちていくような感覚にとらわれる。
意識が途切れる直前のこと。男とも女とも老人とも子供とも取れる…不気味な声が頭の中で響いた。
SANc⇒0/1d3
<英語>成功で「王を見つけろ…王を殺せ…さもなくば…」という英語が聞こえる。
あとは何を言っているのか、聞き取れない。
3.最初の部屋
気が付くとそこは見知らぬ薄暗い部屋だった。急に見知らぬところに飛ばされ、記憶もあやふやになってしまい、パニックに陥る。
SANc⇒0/1
起き上がり部屋を見ると、そこには自分以外の4人の見知らぬ男女と、奥の方に扉が1つあるようだ。
■自分の持ち物や恰好を確認する
自分の普段着を身にまとっており、荷物などは何も持っていない。ただ、自分の腕には見知らぬブレスレットが付けられている。
【HO1】⇒青色のブレスレット【HO2】⇒緑色のブレスレット【HO3】⇒黄色のブレスレット【HO4】⇒紫のブレスレット
■扉
木製の扉だ。
<目星>成功で、扉に小さく「セキニスワッテネ」と彫ってあるのが分かる。
■NPC:琉雨について
お面をつけた中学生くらいの少年。
<目星>成功で、赤色のブレスレットが付けられていることがわかる。<アイデア>成功で、どこか懐かしい感じがする。
■KPメモ:琉雨についての情報
現時点の琉雨は記憶がほとんどない。自分が「ルウ」という名前であることしか覚えていない。
琉雨は探索者たちに対して友好的に接するため、探索や戦闘にも協力的である。
一定時間毎に、琉雨に<アイデア>を振らせ、3回成功したら過去のことを思いだしてもよい。
4.待合室
赤い絨毯がひかれており、豪華なシャンデリアがキラキラと部屋を照らしている。
部屋の中心には大きな丸机と5人分の椅子が置いてある。椅子は座るところが赤、青、緑、黄、紫とすべて色が異なっている。
■動く椅子
各自持っているブレスレットと同じ色の椅子に座らなかった場合、椅子は勝手に動く。
椅子が勝手に動いたことに戸惑いを感じることだろう。 SANC⇒0/1
■机
引き出しなどは特になく、木製の円卓机である。
<目星>成功で、机の裏側に一枚白い紙、机の表側に携帯端末が置かれてあるのが分かる。
■白い紙について
「王は孤独、王は独り。」と書かれてある。
裏を見ると"宣言した"場合には、「王を殺せ」と書かれていることを明かす。
■携帯端末
探索者+琉雨の分が置かれてある。色は赤・青・黄・緑・紫の5色である。
<機械修理><電子工学><コンピュータ>成功で、この端末はメッセージを受信することしかできない機械であることが分かる。
5.届いたメール
探索者たちが全員、席に座ると、その携帯端末にメールが届く。メールは一斉送信されている。
【!】開示情報(以下、メール内容)
To 探索者の名前
From 王様
これは罰です。あなた方には"王様ゲーム"というゲームに参加していただきます。
参加者は、HO1様・HO2様・HO3様・HO4様・ルウ様。以上5名が参加者です。
=ルール=
1.王様の命令は絶対です。
2.命令を破ったものには罰を与える。
3.拒否や途中棄権・リタイヤはできない。
4.最後まで残っていたものに王様の権利が与えられる。
王は孤独。王は独り。
と書かれてある。
【HO1】のみ<目星>の判定を行う→まだスクロールできることが分かる。
携帯端末を下までスクロールすると、こんなことが書かれてある。
ーーーーーー
君にとって憎い人が王様だよ☆
さぁさぁ、殺しちゃえ!殺しちゃえ!
ーーーーーー
■王様ゲームについて
▼<知識>に成功
・選ばれた王様がそれ以外の人に命令し、従わせるゲーム。
・命令はほとんど罰ゲームの様なものであることが多い。
・基本的には「○○さんが○○さんへ~~をする」といった他者を巻き込む命令や、
「○○さんが~をする」といったものがほとんど。
・王様の命令は絶対である。
▼<オカルト>に成功
「王様ゲーム」という名の都市伝説は少し前にたしかにあったものだ。
おおまかな内容は、そのゲームに選ばれた者は全員死んでしまうといったもの。
また、そのゲームに選ばれるのは絆が深い者同士である。
数十年前、奇妙な家族集団自殺があり、その原因こそ、この「王様ゲーム」に参加してしまったからだ、と噂されていた。
しかし、そんなことはあるわけがないということで一蹴されている。
■最期のメール(探索者たちのやりたいことが尽きたとき、このイベントを最後に入れる)
もう一通のメールが届く。
【!】開示情報(以下、メール内容)
To 探索者の名前
From 王様
命令です。今から赤い扉の部屋に入って敵を倒しなさい。制限時間は30分です。
このメールを見終わった後、部屋には先ほどまで無かった扉が4つ現れる。
突然現れた扉に対して驚きを隠せないだろう。
SANc⇒0/1d3
6.赤い部屋
探索者が中に入ると、目の前に雲一つない青空が広がる。丸い円形状の大きな建物。真っ白な壁に、決闘場のような設備。
部屋には、無数の雄叫びが探索者たちの鼓膜を揺らす。そこは、闘技場だった。
探索者たち全員が足をその空間に踏み入れると、バタンッと勢いよく扉が閉まる。
闘技場の中に3体の正体不明の化け物がやってくる。ゴムのような弾力のある皮膚に蹄状に割れた足、
犬に似た顔をしており、鋭いかぎ爪を持っていた。そんなおぞましい化け物を見た探索者たちは SANc⇒0/1d6
■闘技場
▼<目星>に成功
闘技場の周り、観客席には1D100体ほどの正体不明の化け物共で囲われていることに気づく。 SANc⇒0/1D4
▼エネミーデータ:食屍鬼 (参考:基本ルールブック p.180-181)
STR 17 CON 13 SIZ 13 INT 13 POW 13 DEX 13
かぎ爪 30 ダメージ1D6+DB
噛みつき 30 ダメージ1D6+DB
回避 26 DB +1D4 耐久力 13
装甲:火器と飛び道具はロールで出た値の半分のダメージを与える。(端数切り上げ)
■戦闘終了条件
・食屍鬼を戦闘不能にさせる。
■KPメモ
食屍鬼のデータはあくまでも参考であり、探索者たちの能力に応じて、強化もしくは弱体化しても構わない。
■戦闘終了後
探索者たちは見事3体の化け物を倒すことができた。
1D100体の食屍鬼が襲ってくる……。しかし、それは叶わなかった。空から無数の槍が降ってくる。
すると見る見るうちにまわりの食屍鬼たちに突き刺さる。
思わず耳を塞ぎたくなるような効果音。轟き続ける断末魔。ものの数十秒の出来事だった。
闘技場の一面真っ白だった壁は鮮やかな赤色に。その場は血の海に変わってしまった。
SANc⇒1/1d6
そのような惨劇の後、携帯端末が鳴る。
【!】開示情報(以下、メール内容)
To 探索者の名前
From 王様
おめでとうございます。見事、敵に立ち向かい、敵を撃退して見せました。次の命令までお待ちください。
■KPメモ
この部屋に出てくる食屍鬼たちもこの「王様ゲーム」に参加していて、探索者たちを殺せという命令が出ていた。
だが負けてしまうので罰を受け皆殺しにされている。
7.青色の扉
この部屋には一面本だらけだった。大量の積み上げられた本。たくさんの本棚。
床には、書類が散らばっていた。部屋の中央部には、木製の机が1つ置かれている。
■床の書類
床には大量の書類が乱雑に散らばっている。
▼<目星>に成功
3-K新聞の記事の切り抜きがふと目に留まる。また、だいぶ昔の記事のためか傷んで読めない部分がある。
(※転生前の名前が載っているため、名前をもじったものに差し替えてPLに公開する。)
【!】開示情報(以下、記事の内容)
「九重家集団自殺か?」
■月■日未明、■県■市に住む、九重さん一家が集団自殺した。
次男の(<HO1>の名前をもじったもの)は包丁で刺し出血多量、
三男の(<HO2>の名前をもじったもの)は溺死、四男の(<HO3>の名前をもじったもの)は薬の大量摂取でショックにより死亡。
経緯は不明。警察は殺人事件ではなく自殺とみている。
■机の上
走り書きメモがある。
「ループを止めるには…殺さなければならない?」
■本棚
<目星> or <図書館>に成功
かなり古い日記が見つかる。
(※転生前の名前が載っているため、名前をもじったものに差し替えてPLに公開する。)
【!】開示情報(以下、日記の内容)
◯月◯日
おかあさんににっきちょうをかってもらった。きょうからつけてみようとおもう。
◯月◯日
ぼくにもうひとり、いもうとかおとうとができるんだって。おかあさんからきいた。
(<HO1>の名前をもじったもの)も{おにいちゃんorおねえちゃん}になれるってよろこんでた。
おかあさんから、たよりになるおにいちゃんだから、やさしくしてあげてね、ってゆってた。ぼくがんばる。
(中略)
◯月◯日
きょうは、じゅけんというものをした。ぼく、がんばったから。よろこんでくれるとうれしいな。
〇月〇日
あかちゃんもうすぐうまれるんだって。たのしみだな。
◯月◯日
じゅけん、ごうかくしたんだって、おかあさんもおとうさんもうれしそう。
(<HO1>の名前をもじったもの)もよろこんでくれた! みんながたのしそうでぼくもうれしい。がんばらなくちゃ。
◯月◯日
きょう、あたらしいきょうだいができた。あかちゃんのなまえ、
(<HO2>の名前をもじったもの)だって。ぼくはふたりのおにいちゃんになるんだ。あかちゃんにも、やさしくできるといいな。
(中略)
◯月◯日
久しぶりに日記を書く。今日、初任給をもらったので、弟や妹たちにプレゼントをした。
俺はそれぞれのイメージカラーのアクセサリーをあげた。みんな喜んでくれたようで嬉しかった。
兄馬鹿かもしれないけど、うちの弟や妹たちはかわいい。
◯月◯日
ある男に出会った。不思議な男だ。お前の望みは何か? 俺の望みは、弟や妹たちが幸せであれば、それだけでいい。
それが僕の望みだ。
◯月◯日
どうすれば救えるだろうか? 俺が、みんなを守らないと。みんなを助けないと……
◯月◯日
あぁぁあ……知らなかった。どうしよう。俺は……(この後は字が乱れていて読めない)
さらに<目星> に成功
数ページ後に書かれていた。
【!】開示情報(以下、日記のつづき)
◯月◯日
俺は選択を誤ってしまった。みんな、ごめん。もう1回繰り返す。次は間違えない。
ここで日記は終わっている。
■KPメモ
これは九重琉架が死ぬ前まで書いた日記である。
この日記に出てくるブレスレットだが、このブレスレットは探索者たちの装着しているブレスレットである。
ちなみに琉架の記憶は琉雨には継続されていない。
8.黒色の扉
部屋に入ると錆びた鉄のにおい、そして、腐った肉のにおいが充満している。 SANc⇒0/1D4
部屋は真っ暗で何があるのかが分からない。
■部屋全体
▼<目星>-20%に成功
・奥の方に死体の山がある。
・一枚の紙きれが落ちていることに気が付く。
■紙切れ
「おうさま、だーれだ」とだけ書かれている。
■KPメモ
“裏を見る”と宣言があれば、「ヒント:こころやさしいあわれなぎぜんしゃだよ。」
と書かれてあるのが分かる。
■死体の山
▼<医学>に成功
心臓麻痺、惨殺、溺死等々、死因は様々で一貫性がない。
▼<医学>に成功
地球に存在しない未知の生物の死体も混じっていることに気が付く。 SANc⇒0/1d4
▼<目星>に成功
赤の部屋で見た生物の死体も混じっていることに気が付く。
9.黄色の扉
▼<聞き耳>に成功
誰か中にいるような気がする。
■ドアノブを触る
ドアノブに触れた瞬間背筋が凍る。この部屋には入ってはいけない。そして、本能的な恐れを感じ取るだろう。 SANC⇒0/1D4
また開けようとしても鍵穴等ないはずなのに開かない。
■KPメモ
人間の男の貌をしたニャルラトホテプが中におり、この状況をモニターで監視している。
物理攻撃でドアを壊そうとしても壊れない。
10.ラストイベント
ラストイベントが進行し始めると、
探索者の行動次第で以下の3つのパターンに分岐することになるだろう。
①命令を聞いて殺し合う
②命令を聞かずに放置する
③自分たちが兄弟だと気づき、王様が誰かを根拠付けて言い当てる
PLとしては、③に気づくことが目標である。
ここから先、KPは以下のメールの情報を渡してから30分間をリアルタイムで測って進行し、
上記のパターンに合わせて、当該の処理を行ってゆく。
■KPメモ
メールが送られる対象は2名です。
1D100を探索者たちに振ってもらい、出目が高かった2名の探索者を対象者とする、
あるいは、KPがシークレットダイスで対象者を決めても構わない。ただし、琉雨の名前は、最後のメールまで名前を出さないこと。
【!】開示情報(【対象探索者A】に送るメール【対象探索者?】は適切に探索者の名前に変更してください。)
To 【対象探索者A】
From 王様
命令です。【対象探索者A】は【対象探索者B】を殺しなさい。制限時間は30分です。王様の命令は絶対です。
【!】開示情報(【対象探索者B】に送るメール【対象探索者?】は適切に探索者の名前に変更してください。)
To 【対象探索者B】
From 王様
命令です。【対象探索者B】は【対象探索者A】を殺しなさい。制限時間は30分です。王様の命令は絶対です。
■命令を聞いた場合
戦闘ラウンドへの移行
■KPメモ
琉雨には何もさせない。
目の前で、突然わけのわからない死に方をしたところを見たほかの探索者たちは SANC⇒1/1D4
互いで殺し合いの対象探索者となっていたものは SANc⇒1/1D6
探索者が死んだあと、残された探索者たち全員が喪失感を抱く。
1人目の死者が出てしまった場合、1つの扉が現れる。⇒『11. 秘密の扉』を参照、その後以下
探索者が2人以上残っている場合は、ほどなくした後、再びメールが届く。
(※残った探索者で『10.ラストイベント』の頭から処理を行いなおし、再び進行する。)
もし、この戦闘で残っているのが1人だけになったのなら、後述『■最後のメール』にジャンプ
■命令を聞かずにそのまま放置した場合
突然【対象探索者?】は苦しみだす。
心臓は、誰かに捕まれたかのように、動かなく……、そして、見る見るうちに真っ青になっていき、倒れていった。
目の前で、突然わけのわからない死に方をしたところを見たほかの探索者たちは SANC⇒1/1D6
互いで殺し合いの対象探索者となっていたものは SANc⇒1D3/1D6+1
■KPメモ
死亡する探索者は【対象探索者A】【対象探索者B】で出目が大きかった方。
この死亡した段階で、探索者には自分たちの関係等すべてを公開しても構わない。
探索者が死んだあと、残された探索者たち全員が喪失感を抱く。
1人目の死者が出てしまった場合、1つの扉が現れる。⇒『11. 秘密の扉』を参照、その後以下
探索者が2人以上残っている場合は、ほどなくした後、再びメールが届く。
(※残った探索者で『10.ラストイベント』の頭から処理を行いなおし、再び進行する。)
もし、この戦闘で残っているのが1人だけになったのなら、後述『■最後のメール』にジャンプ
■最後のメール
残った者に最後のメールの内容は以下の通りである。
【!】開示情報(現状、生き残っている全員に送られてきます。)
To 探索者の名前
From 王様
命令です。<残った探索者>は、ルウを殺しなさい。制限時間は10分です。王様の命令は絶対です。
■自分たちが兄弟であることに気が付く。そして、王様が誰かを根拠付けて言い当てる
全てに気が付くと、琉雨は幸せそうに微笑む。探索者たちが瞬きした後、琉雨は元の姿に戻る。
彼の姿を見るとすべての記憶を思い出す。先程の推測が、確信に変わる。
そして彼はいつも通りの優しい口調で、自分を殺すように、と言うのだ。
生存している探索者が3人以上おり、琉雨を殺した場合→『13. エンド分岐【 True end 】』へジャンプ
生存している探索者が2人おり、琉雨を殺した場合→『13. エンド分岐【 Normal end 】』へジャンプ
11.秘密の扉
■KPメモ
この部屋は探索者が1人、犠牲にならなければ見つけられない。
扉は木製の白い扉で、鍵などはかかっていない。
扉を開けると、真っ白な壁紙にポツンと1つの机があるだけだ。
■机
<目星>に成功
日記が置いてある。
【!】開示情報(現状、生き残っている全員に送られてきます。)
◯月×日
就職して良い機会だし、今日から日記を付けてみることにした。
僕は今日から警察官になる。家の圧力もあったし、僕自身やりたいこともなかったし。これから頑張ろう。
◯月×日
<HO3>に俺みたいな警察官になりたいと言われた。憧れになれるように頑張ってきたわけじゃないけど、こうして尊敬してもらえる兄になれているなら嬉しい。
◯月×日
<HO1>が医者になりたいと、相談しているのを聞いた。
僕はそんな夢を持つことなんてなかった。持とうともしなかった。自分の夢を自分で見つけた彼を誇りに思うよ。だけど、武道の名門である九条家に生まれたのだから、きっと多くの障害が付きまとう。
でも、<HO1>は医者にきっとなれる。聡明で、人の気持ちを分かってあげられる子だから。応援しているよ。
◯月×日
父さんに<HO1>のことを話した。頭の固い父さんだ。当然と言ったら当然なのだけど、怒っていた。
すぐに、<HO1>の夢を諦めさせようとした。必死に止めて、僕が父さんの言うとおりに警察官の中でもエリートである、SAT隊員にまで昇進するということで、話にけりがついた。
俺は<HO1>の味方だ。俺が頑張りさえすれば、<HO1>のなりたいものになれる。それなら、何だってしよう。
◯月×日
今日、<HO1>に嫌いと面と向かって言われた。いや、ほんとに驚いた。
だって、何でも言いたいことを我慢する<HO1>が僕に正直な気持ちをぶつけてくれたなんて、初めてのことだったから。今度、色々話をしに行こう。
◯月×日
何で父さんはアイツを追い出したんだ!? 約束したじゃないか!!
何が何でも、絶縁なんか取り消しにしてやる!!
◯月×日
<HO2>に、<HO1>の引っ越し先の住所を教えてもらった。明日、仕事の帰りに寄ってみよう。
◯月×日
今日、会いに行ったが、会ってくれなかった。つい最近のことだし、きっと、気まずいんだろう。優しい子だから。アイツのペースに合わせよう。まだ時間はあるし。
(中略)
◯月×日
SATへの配属が決まった。これで、父さんも文句は言えないだろう。
◯月×日
今日、不思議な男に出会った。そして、僕を見て偽善者だと言うのだ。
なぜ偽善者だと言うのだ。
(中略)
◯月×日
今見知らぬ部屋にいる。ここはどこだ?確か僕は、普通に通勤していて、そしたら、この間あった男に遭遇して……、連れ去られたんだっけ。
その時たしか<HO4>がいた。とりあえずやばい状況だったから逃げろって言ったんだけど、逃げられたかな。あいつのことだ、罪悪感に駆られてないといいんだけど。
無事であることを祈る。
ここで終わっている。
■KPメモ
これは、琉雨が書いた日記である。
12.最終戦闘
■自分たちの関係に気付かずに琉雨を殺そうとした場合に限り、この戦闘は行う。
黄色の部屋が急にバタンと開く。すると中から、1人の男(ニャルラトホテプ)が現れる。
そして、不敵な笑みを浮かべ、琉雨に1丁の銃を渡す。
「さぁ、琉雨君。これでアイツらを殺すんだ。実を言うとね、アイツらは君の大切な人たちを殺してしまう悪人たちだよ。
君が今、殺しておかないと、どうなるんだろうね? ねぇ、賢い琉雨君なら正しい選択、できるよね?」
すると、琉雨の瞳は虚ろになっていく。すると、男から銃を受け取り、受け取ると、コクリと頷く。
=戦闘開始=
■武器データ
琉雨に与える武器
{サブマシンガン} ダメージ 攻撃回数 装弾数
ヘッケラー&コックMP5 1D10 2または連射 30 (基本ルルブ記載)
ウージーSMG 1D10 2または連射 32 (基本ルルブ記載)
■戦闘終了条件
琉雨を戦闘不能にさせる。
■戦闘処理
琉雨のデータは1.物語の概要 NPC紹介の欄に記載してある通りだ。また、武道もあるため、受け流すことも可能だろう。
男は基本、進んで戦闘に加わろうとはしない。しかし、琉雨の銃の弾が切れたときには、新しい銃を追加で渡す。
KPは探索者たちが間違ってもこの男に攻撃しないように、適わないような演出をすること。
探索者たちがそれでも男に攻撃したら、戦闘に参加させる。
=戦闘終了=
生存している探索者が2人以上いて、勝利した場合→13. エンド分岐 【 Normal end 】へジャンプ
生存している探索者が1人しかおらず、勝利した場合→13. エンド分岐 【 Bad end 1 】へジャンプ
敗北した場合→13. エンド分岐 【 Bad end 2 】へジャンプ
13.エンド分岐
■自分たちの関係に気付かずに琉雨を殺そうとした場合に限り、この戦闘は行う。
【 True end 】
探索者たちは最愛の兄を殺し、しばらくした後だった。あたりが暗くなり、ふわふわと浮かんでいるような、
夢と現実のはざまにいるような、そんな感覚を覚える。
すると、遠く微かな声だが、兄の声がする。耳を澄まして聞く。彼はこんなことを言うのだ。
「今まで迷惑をかけたね。僕は君たちと出会えて幸せだったよ。僕はいつまでも見守っているよ。元気でね……」
その言葉を最後にもう何も聞こえなくなった。そして、静寂と闇が探索者たちを包み込み、意識は沈んでいった。
次に目を覚ますと、そこは見慣れている自分の自室だった。
あぁ、今まで夢を見ていたのか…。そう思っていたが、自分の腕にブレスレットがしてあるのが見える。
さっきまでの出来事は夢ではなかったということが確信に変わった。
そして、あなたたちに1通の電話がかかる。電話に出ると、泣きながら話す母親の声だった。
「琉雨が……お兄ちゃんが見つかったわ。だけどもう……。でも、あの子ったら幸せそうな顔で死んでいたそうだわ……」
あなたたちは思うだろう、これでもう二度と繰り返すことはない。あの男の言うことが正しいのであれば、
これで忌まわしきあのゲームの呪縛は解かれたのである。
【 Normal end 】
戦闘終了後。全ての記憶を取り戻す。そして目の前に倒れている少年は青年へと変わっていく。
彼を見ると兄弟の長男、もしくは親友である九条琉雨という男であると確信する。なんということだ。
自分は、自分たちは兄を殺してしまった。まだ、兄から何も聞けてない。何も言えていない。何も伝えられてないのに…。
皆にとって大切な兄/親友である琉雨を殺してしまったことによる SANc⇒1/1D6+任意のSAN
後悔が渦巻いている中、あの男は口を開く。
「あーあ、今回は王様の負けかぁ。まぁ、いいや、今まで何回も僕を楽しませてくれた人間たちだからね。
そろそろこのゲームにも飽きてきた頃だし、おしまいにしよう。じゃあね、人間たち、またどこかで。」
不敵に笑い、男が指を鳴らすと、意識が遠のいていく。
次に目を覚ますと、自分の自室だった。
あぁ、今まで夢を見ていたのか…。そう思っていたが、自分の腕にブレスレットがしてあるのが見える。
さっきまでの出来事は夢ではなかったということが確信に変わる。
そして、あなたたちに1通の電話がかかる。
電話に出ると、泣きながら話す母親の声だった。
「琉雨が…お兄ちゃんが見つかったわ…。だけど…もう……亡くなって…。
…それから…(亡くなった探索者)は…今朝…首を絞めて自殺していたわ…。…お母さんどうすれば…」
すごく疲れている様子だった。その後、電話はぷつりと切れた。
【 Bad end 1 】
あなたは、琉雨を殺してしまった。すると、記憶が全て戻る。目の前で倒れている男は九条琉雨。
その男はあなたの兄であることを思い出す。
そして、自分たちは兄が大好きであったこと……、兄のことを尊敬していたこと。全てを思い出す。
自分は、なんてことをしてしまったのだ。深い後悔の念に捕らわれる。 SANc⇒5/5+1D10
<アイデア> →成功→ 一時的狂気には自動的に自殺癖を引く。
後悔の念にとらわれていたそのとき、
「ははは……!! これだから人間は面白いね。王様は殺された。よかったね。君が次の王様だ。
また繰り返し、僕を楽しませてよね。」
という声が黄色の扉から聞こえる。すると扉が開き、ニャルラトホテプの神体が現れる。 SANc⇒1D10/1D100
<アイデア> →成功→ 一時的狂気には自動的に自殺癖を引く。
「これからも楽しませてよ。」
彼は言うと、意識は強制的に現実世界へと返される。
目は覚め、悪い夢かとも思った。だが、自分が兄を殺した感触。それは今でも鮮明に覚えている。
■発狂した場合
そしてふらふらとした足取りで自分の家の屋上にいき、そのまま落ちる。すると、自分の体はぐしゃり、と音を立てた。
あぁ、これが死という体験なのか…。
他人事のように考えながら、死んでいった。
そして、来世もそのまた来世も繰り返されるのであった。でもそこには、琉雨の姿は無かった。
■発狂してない場合
目が覚めた。すると、一面真っ白な部屋にいた。薬品のにおいがつんと抜ける。
ここは病院である。
両親がベッドの近くに寄り添い泣きながら抱きしめられる。
「なんで屋上から飛び降りようとしたの…!!もう心配したじゃない!!」
と母の声。兄弟のことを聞くと母も父も首をかしげる。そして、こう口にするのだ。
「貴方はもともと1人っ子でしょう?」
確かに兄弟はいた。それは疑いようもなく事実である。なのに、なぜ目の前の人たちは兄弟たちの存在がないというのだろう…。
しかし、悪い予想をしてしまう。もしかして、あの場所で自分が殺したから、存在を消されてしまったのではないのか。すべては自分が悪いのではないのか?
そんな自己嫌悪と罪悪感を覚える。 SANc⇒1/1D6 +任意のSAN
【 Bad end 2 】
あなたは琉雨を殺せなかった。そして、脳内でこんな声が響く。
「命令を破った者には罰ゲームを。」
あなたは激痛に悶える。心臓が掴まれるそんな感覚。すると心臓は止まり、そのまま死んでしまう。
意識はぼんやり外にある様子で、
その景色には琉雨と、1人の男が立っていた。
「おめでとう、王様。また勝てたね。やはり君が王にふさわしい。また、王様がんばってね。」
「これは僕が望んだ終わりじゃない……!!僕が、僕が、死んだらよかったのに……!!
そうだ、もう一度繰り返そう。もう1回、生まれ変わって僕たちは兄弟になろうね?
今度は……今度こそは誰かが助けてくれるのを祈って…。」
号泣する自分の兄。そして、それを愉快そうに笑っている男。それをただ、聞くことしかできなかった。
このゲームは繰り返す。僕たち兄弟はこれからもこの終わらないゲームに参加させられるのだ。
14.クリア報酬
※後遺症について:1度、死んだ探索者が蘇生した場合、POW-4にする。
【 True end 】
SAN回復
全員生還:1D10
自分たちの関係に気づいた:1D6
琉雨を殺す決断をした→1D3
ブレスレットの報酬→青いブレスレットを持っている人→POW+1
緑のブレスレットを持っている人→STR+1
黄色のブレスレットを持っている人→CON+1
紫のブレスレットを持っている人→EDU+1
このブレスレットはオリジナルでありAF扱い
身に着けているときのみ、この効果は発揮される。
【 Normal end 】
SAN回復
生還者→1D6
ブレスレットの報酬→有り。
ロスト者→報酬なし
【 Bad end 1 】
報酬なし
【 Bad end 2 】
報酬なし